▼「左官」とは |
簡単に言うと「壁を塗る人」です。
土やセメントモルタルなどの素材を塗ったり、砂壁や漆喰仕上げなどの最終的な表面仕上げを施すのが主な仕事です。
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▼歴史の中で培われた技と知恵 |
土は地球上で最も手に入れやすい素材であり、その土を生のまま建築材料として利用したのが左官工事の起源にほかならない。我が国で最初の左官仕事は土を団子状に丸めて積み上げていく、最も原始的な工法で施工された土塀であると言われている。
飛鳥時代の石灰を使って壁を白く塗る仕上げ技術、細く割った木(その後、竹に移行)で壁の芯地を作る木舞の技術。
安土・桃山時代の茶室建築から始まった、色土による仕上げ。土の色をコントロールするだけでなく、砂や繊維を混ぜることで様々な表現が可能になり、瞬く間に全国に普及した。
江戸時代に完成されたのが城郭建築などにおける漆喰仕上げ。漆喰で壁全体を覆ってしまう総塗籠工法により建物の耐火性を飛躍的に向上させ、またデザイン的にも非常に美しいものになりました。「白鷺城」の異名を持つ姫路城はこの工法の代表的な施工例です。その後、商人の土蔵や町家へと普及していき、漆喰彫刻というレリーフ状の装飾的施工も行われ、左官技術は芸術性においても大きな発展を遂げ、文明開化後の洋風建築の装飾にも柔軟に対応できました。
そして現代。左官技術は今も新しい素材、新しい工法を取り入れながら建築の様々なシーンで活躍しています。
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